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自分で立ち上げたWEBデザインの会社がうまくいかず、てんぐ橋にある実家の飲食店用品店・タクミ屋に逃げ帰ってきたミチカ。しかし戻ってきたはいいものの、タクミ屋の経営状況は芳しくなく、窮地に立たされていた。「タクミ屋になんか行ったって、欲しいものはなにひとつ売ってない」。近所に店を構える小料理屋の店主にそう言われ、顧客の求める品揃えに対応できていないと悟ったミチカは、人に求められる料理道具屋に、タクミ屋を変えることを決意する。てんぐ橋の食品サンプル店で働く同級生・ユイとの再会がミチカに大きなきっかけを与え、初めはそりが合わない二人の関係にも変化が──。料理道具で人々の悩みを解決するお仕事青春小説、ここに誕生!
ハローワーク吾妻に新卒採用された間宮璃子は絶賛研修中。そんな彼女の元に、それぞれの事情を抱えた求職者がやってくる。借金返済のため住み込みの家政婦の仕事を探している女性、定年退職した父を働かせたいという娘、重い病気のために大手の内定を取り消された女の子……。求職者のために奮闘するリコの成長を通して“働くこと”の意味を問う長編。
ギリギリの成績ながらも専門学校を卒業し、夢だった理容師への第一歩を踏み出した神野キリ。
しかし、キリを受け入れてくれた理容室はたった一軒。 キリと父を捨てた母・巻子がかつて勤めていた「バーバーチー」だった。
母の師である広瀬千恵子の店で働くことに複雑な思いを抱えつつも、一人前の理容師になって母を見返すために張り切るキリ。 最初は空回りして失敗ばかりで落ち込むも、様々な客と接していくうちに少しずつ変わっていき――。
清野清乃(せいの・きよの)は26歳。労働基準監督官に任命され、吾妻(あずま)労働基準監督署に配属された新米だ。働き方改革が叫ばれる昨今だが、意識の低い雇用主は多く、相談は絶え間ない。いきなり解雇されたり、給料の払いが遅れたり、ハラスメントを受けたり……。働くこと、雇うことって、こんなに難しいの? 清乃が担当する案件を通して、「労働」の本質をさぐる、最新型お仕事小説。〈カバー裏表紙より〉
祖父が起こした「清澄鋳造」で働くルカ(清澄流花)は、営業担当ながら時には現場作業も行う“鋳物オタク”だ。丁寧な仕事を信条に培ってきた強みが時代遅れとされ、相次いで取引先を失い大ピンチに。瀕死の会社を守るため大胆な改革を図るが…。従来のしきたりと、経験とカンを誇る職人たち。亡き祖父ならどうするか。その足跡を辿ると、戦中戦後を必死に生きた男の姿が浮かび上がるのだった。さらに、輝く二つの“東京オリンピック”。新しい工法、新素材の製品、物語のあるモノづくり。東京・下町を舞台に、女性鋳物師の奮闘を描く。
故郷の市役所にUターン就職し、工業振興企業誘致課、通称・市役所工場に配属された新人、天明未来の奮闘記。設計の仕事を志しながら意に沿わぬ部署に配属され、戸惑いながら毎日を過ごす未来。仕事もさることながら、職場の人間関係や母親との確執を経て、しだいに成長していく――。著者の綿密な取材をもとに描いた、リアルお仕事小説が誕生!
就活中のユウ(三輪勇)は、第一志望の商社を最終面接で落とされた。その後、母親が社長を務めるミツワネジ(従業員130名)に正式エントリーして、入社することになった。海外で働きたいと考えるユウにとって、ミツワネジにフィリピン支社があることが大きな志望動機になった。 入社後、ひとり暮らしをはじめたユウ。同期入社は同じく営業に配属された辻の2名だった。ユウは、長谷川螺子兄弟社というネジ会社で三か月の現場研修に入り、「緩み」が生じないようにと、ひと工夫したU字ボルトを作った。 営業の取引先は、ネジを扱う顔なじみの商社ばかりだった。何とか直接メーカーに対して提案型の営業もしたいと思いはじめたユウは、飛び込みでメーカーを回り始めるが、相手にされない。ある日、荒川の河川敷で消波ブロックを作る現場を見たユウは、型枠を締めたり緩めたり簡単にできるボルトを作れないかと考えた。 前例のないことを始めようと行動するユウは、幾度もしがらみと闘いながら、仲間や業界のスペシャリストとともに新しい世界を切り開いていく。 読めばヤル気が出る!新入女子社員のモノづくり小説。文庫オリジナル。
神野キリ、20歳。夢は理容師になって人気店を開くこと。
お金を稼げて、女性も通える理容店を開いて、自分と父親を捨てて男と出ていった理容師の母親を見返すため、理容専門学校を卒業したキリ。カットが下手なキリは、千恵子が一人で切り盛りするバーバーチーで修業することになるが、雑用ばかりの毎日。幼なじみの淳平は毎日のように実家に来るし、理容学校の同級生のアタルの存在も気になり始めて――。
衰退産業だなんて言わせない、床屋さん業界に理容女子が革命を起こします!
“あわいの館”を訪れた津島修治(=太宰治)は、次々と行方不明事件を解決するが、同時に自分の中の大切な何かを失っていく。それでも、周囲の期待に応えようと奔走する修治だったが、問題ばかり起こしてしまう。心機一転、作家としての成功を目論み、難事件の解決に乗り出すが……。 過ちを繰り返しながらも人々を惹きつける太宰の魅力とは何か。探偵としてさまざまな犯罪捜査にかかわる姿を通じて、人間・太宰治の真の魅力に迫る異色の青春物語。
音無ゆかりは、依頼人の心に巣くう言霊を取り除く「鳴物師」として活躍する18歳。代々受け継がれる能力と、綾瀬、入来のサポートによって、次々と持ち込まれる難題に立ち向かう。しかし、様々な調査を進めるうちに、両親にまつわる悲劇的な過去が浮かび上がる。はたして彼女を悩ませるトラウマの真相とは? そして、音無家に宿る特殊能力の正体とは!?
あたし、一流のヘラ絞り職人になる! 高校を卒業したばかりの小倉ひかりは、父が勤めていた株式会社ツブラヤ絞に転職した。9歳の時に失踪した父について知りたい、もしかしたら再会できるかもしれないという思いからだ。父は、天才的なヘラ絞り職人だった。ヘラ絞りに夢中になったひかりは めざましい上達を遂げ、テレビに出演。番組の中で旋盤職人の剣拳磨と対決する。さらには、宇宙の謎の解明につながる最先端プロジェクトへの参加の依頼までが舞い込む。父親との再会は果たせるのか? 思いもよらない衝撃の真実が、ひかりを待ち受ける!
広告代理店に勤めていた花丘明希子は、病に倒れた父親に替わって、花丘製作所の社長になった。しかし、会社は大幅な売り上げ減で、銀行からは借入金の返済を求められ、融資に駆け回ることに。また、同業者からの引き抜きで、5人の社員が去って行った。 そんな時に、大手の三洋自動車から連絡が入った。いったんは、ライバル企業に発注されていた金型に不備があり、仕事が回ってきたのだ。 しかし、技術的にクリアしなければいけない大きな課題が立ちはだかっていた。 ここまで手を尽くしたのに……なんてそんなものはないのだ。駄目なら、さらに手を掛ける。不可能を可能にするまで。どこまでも。 社員の総力を結集しての努力は実るのか? 若き女性社長のひたむきな奮闘と、製造業に従事する人々の心意気を描いた、町工場エンターテインメント! 文庫オリジナル。
歯学生だった剣拳磨は、親の敷いたレールに逆らって大学を中退し、東京にやってきた。そして、歯学部実習での「削り」つながりで、飛び込みで下町の金属加工会社に就職する。削りには自信のあった拳磨だが、大学でやってきたことが全く通用しなかった。しかし夢中で取り組む内、手作業による削りの仕事が自分に打ち込める世界だと気づく。 やがて、社長に技能五輪全国大会を目指すよう言われた拳磨。そこに、中学の頃から立ちはだかってきた神無月グループの御曹司・神無月純也が現れた。自分の会社から多くの選手を出場させた神無月。拳磨は、頂点に立てるのか。
若者に大人気の女性シンガーソングライター小鳩アイが、突然大ヒット曲「想い」をまったく歌えなくなった。 そこには、作詞にまつわる親友との悲しい過去が隠されているのだが…… 次々と発生する謎に満ちた事件を、ゆかりは解決することができるのか? そして、彼女の力と血脈にかかわる、忌わしい闇の真相は!? ニューヒロインが挑む、新感覚サイコミステリー!!
なにかにつけて「うれし〜」というのが僕の口癖らしい。週末に自分で掃除したての一番風呂に浸かると、「ふー」という満足のため息とともに「うれし〜」の声が出る。干したての布団にくるまると、足をばたばたさせて「うれし〜」。朝、カーテンをあけて、晴れでも、雨でも、そこに空があるだけで「うれし〜」。なんでも「うれし〜」と感じること、それは僕の数少ない取り柄なのかもしれない。 おとなになると、毎日がハレの日ばかりとはいかないのが人生である。それでも、「うれし〜」と感じるちいさな出来事があれば、むしろそうしたことをどん欲に発見してゆくことで、日々の色合いはかわってゆくのではないだろうか。(「あとがき」より) 味があって、少し懐かしくて、あたたかいお話がたくさんつまった初のエッセイ集。 上野家の食卓レシピ集付き。
1冊の詩集を残し、自ら命を絶った林りんは伝説の詩人となった。その息子・リンゴは、姉・かがりへの超えてはいけない感情の一線をまえに困惑する日々を送っている。かがりには少女時代、何者かに誘拐され2日間拘束された過去がある。彼女自身にそのあいだの記憶はなく、トラウマとなっている。姉の肉体への欲望絶ちがたくポルノ小説家となったリンゴは、かがりの空白の時間を埋めようとする。
朝丘花。29歳独身。恋人はボストンに研修留学中。ほんの数か月まえまでは、地元の中学校で国語を教えていた。いまは亡くなった父親がつくった家を改築して、プチレストラン《花家》を開いている。素朴な橡の木の大きなテーブルとカウンターだけのささやかな店。メニューは、その日ごとに食材をしぼって、ひとりで切り盛りしている。来店する客たちにもそれぞれの事情があって……。
それぞれが美しい、鮮やかな色彩の絵の具であっても、それらをすべて合わせると灰色になる。晴れた日曜日の午後、彼女は僕のところにやってきていて、窓をあけて導き入れたチャコールグレイの猫をやさしく膝の上で抱きながらそんなことを言った。前夜に3月の雪が降った北の丸公園で、僕は彼女に最後にもういちどだけ会った。書き下ろし青春小説。
5年間通った大学をやっと卒業して玩具業界誌の記者になった「僕」。小さな会社で給料も安いし、おまけに住んでるのも古い映画館を改造した安アパート。隣の部屋にはマリーというちょっと変わった女子大生が住んでいて、互いに不思議な友情を抱く。大学時代の友人が自殺した夏、僕にも会社の女性との恋がはじまる。だけど彼女は結婚していた……。 第7回小説すばる新人賞受賞作。