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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第87回『味噌煮込みうどん』

挿絵 去年から今年にかけて、なんどか名古屋方面に出かける機会があった。
 いちどは、名古屋から車で1時間ほど走った碧南の港町で、そのつぎは、やはり名古屋から近鉄名古屋線の急行に30分ほど乗った四日市の工業団地だった。
 いずれも仕事で出かけた旅行で、それぞれ1泊ずつしてきた。
 
 1泊することになるのは、飲んだり食べたりのお招きにあずかるからで、それが、まあ、じつのところ主たる“仕事”のようなものである。
 つい先日も名古屋に出かけてきた。こんどは名古屋市内で、日帰りである。また仕事がらみの旅行だった。というより、僕は仕事以外で東京を離れるようなことはめったにない。
 新幹線で名古屋に向かうときにはふたつたのしみがある。ただ、そのふたつを同時に味わうことはできないことになっているのだ。どちらかひとつだけということになる。
 まずひとつは、車窓からナゴヤ球場を眺めること。ナゴヤドームの開場にともない1996年で中日ドラゴンズのフランチャイズの役目を終えた野球場である。
 94年10月8日のドラゴンズ対ジャイアンツ戦――世にいう“10.8”の舞台となったのがここだった。
 69勝60敗で首位にならんだ両チームが、史上初のペナントレース最終戦での直接対決となり、当時、ジャイアンツの長嶋茂雄監督をして“国民行事”と言わしめた伝説のゲームである。
 あの日、僕は仕事からの帰りで、吉祥寺から自宅に向かうタクシーのなかで、はやる気持ちをおさえつつ、ジャイアンツ4番落合の先制ホームランをラジオで聴いたのだった。
 それにしても、ナゴヤ球場もナゴヤドームも、どうして“名古屋”ではなく“ナゴヤ”なのだろう?

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