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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第75回『 酒の肴に食べるご飯』

挿絵  桃の節句にちらし寿司を食べるのは、あれはどうしたわけだろうか?
 菜の花のような錦糸玉子(きんしたまご)と木の芽で飾られたちらし寿司は、いかにも春の華やぎにあふれているかもしれない。甘じょっぱく煮た干しシイタケやエビ、焼きアナゴといった具を酒のつまみにするのもいいだろう。
 いや、ちらし寿司の酢飯だって酒のいいアテになるのだ。
 節分の夜には太巻きを食べた。
 その年の福が集まる恵方(えほう)を向いて、太巻きを無言で丸かぶりするというのは関西の風習であったらしいが、ことしは東京でも大ブレイク。スーパーや百貨店の食料品売場に太巻きが大々的にならび、コンビニの店頭には予約販売のノボリが立った。節分当日には売り切れ店が続出したらしい。
 僕も丸かぶりの儀式のあとに、酒を酌みつつ輪切りにした太巻きをこんどはゆっくりと味わった。太巻きの具は、かんぴょう、だし巻き玉子、高野豆腐、ごま、紅しょうが、きゅうりである。以前は三つ葉を具にしていたが、丸かぶりのとき、ずるずるなかから出てきてしまって見場が悪いのできゅうりにしたのだ。きゅうりは塩でもんだのを用いる。

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