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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第74回『 日帰りバスツアー(3)』

挿絵  まだ明けやらぬ冬空の下、マフラーにあごをうずめ妻とともに駅まえを眼ざす。するとロータリーにはすでに観光バスがその巨体をあらわしていた。7時集合だから、この時期いちばん寒い時間である。凍えきったからだが、それでも首都高に入るころには、暖房と広い車窓からさし込む朝陽とでじんわりとほどけていた。
 またしても日帰りバスツアーに参加したのである。まずは、栃木県・佐野の観光農園でいちご狩り。30分食べ放題だが、時刻がなんと朝の9時まえ。さっき自宅を出てきたばかりだと思っていたのに、こうしていちご畑に立っていることが信じられない思いである。
 ビニールハウスのなかでは真っ赤に熟したいちごが冬の陽ざしに輝いていた。
 じつは朝のほうが実に糖度が集まり、ハウス内も生暖かくならず、いちごがもっともおいしいらしい。
 よさそうなのに手を伸ばし、茎をひとさし指と中指のあいだにはさんで、くるっと返すとへたのうえで簡単にはずれる。とちおとめという品種はちいさいのがおいしいと車内でガイドさんから聞いていたのにもかかわらず、つい大きなのに手がいってしまう。
 このツアー用に2つのハウスが開放されていて、もう一方ものぞいてみると、「入り口のあたりが甘いよ」と、先にいたひとたちが教えてくれる。けっきょく僕は36コ食べた。妻はそれよりも10コも多く食べた。
 さらには上手がいるもので、バスに戻ってみると85コ食べたというひと(50歳代と思われる女性)がいた。ガイドさんが言うには、これまでの最高が66コだというから、その記録を軽々と破ったことになる。スゴイ。
 つづいて地場野菜の販売所による。いちごはもうじゅうぶん食べたので、白菜(70エン)、春菊(60エン)、長ねぎ(100エン)を買う。どれもみずみずしくてリッパ。値段はすべて税込みである。これらであんこう鍋でもしたら最高だろう。

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