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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第71回『横浜中華街』

挿絵  10月の連休、早起きしてア・リーグ選手権ニューヨーク・ヤンキース×ボストン・レッドソックス第3戦を衛星放送で見る。
 ウェブサイトからプリントアウトしたベーブ・ルースをハサミでひと形に切って、居間のハロウィンの飾りといっしょに置き、僕は画面の向こうのレッドソックスに“バンビーノの呪い”をかけつつヤンキースを応援していたのだ。するとそれが功を奏したのか、松井秀喜が勝ち越しのタイムリー二塁打を放った。
 しかし、その直後、ペドロ・マルティネスがカリム・ガルシアの頭部近くに死球。ヤンキースのダッグアウトで、翌日にある第4戦の先発が決まっているスキンヘッドの悪党面デビッド・ウェルズが、かんでいたガムを口から指で出してなにやら一声吼え、ふたたび口にもどす姿が映し出された。
 あちこちに凸凹のある要塞のようなフェンウェイ・パークに一触即発の緊張感がみなぎるなか、こんどはその裏、ヘッド・ハンターの異名を持つロジャー・クレメンスの投げた顔の高さの球にマニー・ラミレスが激怒(こんどは怒るようなボールじゃないと思うんだけど)。両軍入り乱れてのもみあいに発展した。その最中、豆タンクのように突進するヤンキース72歳のベンチコーチ、ドン・ジマーをマルティネスが相撲の引き落としのようにべちゃりとグラウンドにたたきつける光景が眼に飛び込んできた。

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