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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第63回
『江戸川乱歩と『ギャング・オブ・ニューヨーク』と春まだ浅い東京ドーム』

挿絵  池袋の西武百貨店で『江戸川乱歩展蔵の中の幻影城』が開催されたので出かける。 江戸川乱歩の邸宅と土蔵が立教大学のキャンパスに隣接して建っていて、そこはフランク・ロイド・ライト設計の自由学園明日館とともに僕の池袋散歩コースになっていた。
 散歩コースなんていっても重要文化財に指定されてる明日館とはちがって、乱歩邸はれっきとした民家である。まわりをうろちょろするのは、はばかられるところだったのだが、立教大学の付属施設として保存と記念館の設立が決まった。
 今回の展示は、記念館オープンの先がけとなるものらしい。
 そこで乱歩が執筆も行ったというふれこみのぎっしりと書物がならぶ伝説の蔵の薄闇に足を踏み入れるのは、今後一般公開なったときのたのしみにして、この日、見ておきたかったのは貼雑年賦(はりまぜねんぷ)である。
 整理魔であった乱歩は、自分に関する新聞記事、書簡、生原稿、写真などに手書きの解説を加えたスクラップブックをつくりあげた。それが貼雑年譜である。転居を繰り返した乱歩だが、住み暮らした家の精密な間取り図までいちいち記録しているのには恐れ入った。
 究極の自分本ともいえる貼雑年譜は、文化カレッジで自分史講座の講師などを受け持つ上野としては、一見の価値があった。

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