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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第62回『食卓日記(3)』

挿絵 *月*日

 近所の市場でヒラメが安かったので五枚におろしてもらう。
 アラは唐揚げにする。骨まで食べられるようにじっくりと揚げる。もちろん揚げてるのは家内である。料理のことを書くときに、いちいち「家内が」ってことわるのもなんなので、はぶいていると、「上野さんて料理するんですね」とゴカイされることになる。
 身の半分は昆布締めにする。もう半分はチルドへ。昆布締めにしてるのも家内だし、チルドに入れてるのも家内。
 香ばしく揚がったアラの唐揚げで、まずビール。頭(というか顔)もばりばり噛み砕く。つづいて刺身でお酒。寒いので熱燗にする。ふるふるしたエンガワの脂がたまらない。
 それと、これも安かったサザエ(1コ50円)を家内とふたつずつ壷焼きにして、今夜はごちそうである。
 僕はひじょうに不器用であるけれど、サザエの身を金串で巻貝から引っ張り出すようなときになると、見事なくらいに巧みな技術を発揮するのだ。身の先っぽの、くるりんとした肝の磯くささが家にいながら旅愁のようなものを感じさせる。

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