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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第50回『ほのほうちわとレッサーパンダ』

挿絵  多摩動物公園に行ってきた。ほぼ1年ぶりくらいである。
 オカピのいる横浜のズーラシアにも行ったことがあって、あそこも広いけど、都立のこの動物公園もかなり広い。日野の山につくられているので園内は起伏に富んでいる。
 真冬の平日の動物園は客もまばらで、なんとなく寂しい。ときどき立ち止まって、薄陽のさす白い空をぼんやり見上げたりしてしまう。
 でも、すいているぶん、ゆっくりと動物を見ることができる。レストランのテーブルで手弁当をひろげさせてもらったりもした。

 このまえきたときは、木に抱きついたままサナギのようにじっと動かなかったコアラが、今回、新しいユーカリの葉が与えられる食事時間にたまたま行き当たって、アクティブなところを観察することができた。
 熟睡していたコアラたちが、「そろそろかな」といった感じに眼をさます。そうして、あくびまじりに木上にすわったままでころりとフンなど落としている。このへん洋式便座にいるオトウサンみたいで朝刊をひろげてないのが不思議なくらいだ。 まだ覚めやらないような、まさにその鼻っ面にばさりとユーカリの枝が差し出される。奴さんらは、繁った葉のなかに顔をつっこんだまま、かったるそうにむしゃむしゃとそれを食む。
 丸太のうえをクモのような動きで、べつのエサのところに行ったりするのもいる。

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