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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第204回 日帰りバスツアー(16)〜三島のうなぎ編〜

挿絵

 梅雨明けである。
 台風11号の影響による大雨ののち晴れ渡った空を仰ぎ、僕が宣言してやろうかと思った矢先、「関東甲信越が梅雨明けしたとみられる」という気象庁の発表があった。
 しかし、毎年思う。この「〜したとみられる」っていう曖昧な文言はなんなのかと。

 それはさておき、観光バスの運転席すぐ後ろに割り振られた抜群の眺望の僕の席からは、正面に冠雪していない青い富士山が、その全貌を現わしていた。
 7月の連休、日帰りバスツアーに参加する。今回は地元観光会社が企画した、伊豆にある名店のうなぎとマンゴーを食べに行くコースである。実はこのコースには昨年も参加している。
 土用の丑の日が近づき、うなぎの焼ける甘からく香ばしい匂いが恋しくなって、また申し込んだ次第である。

 まずはJR三島駅近くにある市立公園、楽寿園(らくじゅえん)を散策する。
 この楽寿園、皇族で陸軍軍人の小松宮彰仁親王の別邸として造営されたもの。雑木林に囲まれた数寄屋造りの住居、楽寿館は開館時間が合わなくて見学かなわなかった。建築好きのウエノとしては、ちと残念。
 しかし、僕にはほかにもここを訪れる目的があったのである。それはカピバラだ。
 広い園内には「どうぶつ広場」があり、そこでカピバラが飼育されているのだ。
 そして、僕の本当の目的はカピバラ本体ではなくて、カピバラのぬいぐるみのほうだった。
 以前、北海道を旅して屈斜路温泉の観光ホテルに泊まった時、売店で大きなカピバラのぬいぐるみを見つけた。肌触りがよくて、抱き枕にしようと考えたのだけれど、あまりに大きくて飛行機で持って帰ることを思うと買うのを躊躇してしまった。
 以来、恋い焦がれていて、あちこち泊まるたびにホテルの売店を覗いている。
 で、カピバラのいる、ここ楽寿園の売店になら並んでいるかも! と期待したわけだ。
 だが、期待は見事裏切られた。公園事務所で小さなマスコットが販売されているだけであった。

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