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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第195回 日帰りバスツアー(14) 〜真夏のひんやりコース編〜

挿絵

 暑いと涼しい穴ぐらにもぐりこみたくなる。
 第104回『食卓日記(8)〜大船の洞窟とウォレスとグルミット展の巻〜』で、愛読の書である西岸良平氏の漫画『鎌倉ものがたり』で知った大船にある田谷(たや)の洞窟を訪ねたことを書いたけれど、今回、栃木県へ向かうバスツアーは、洞窟・地下世界めぐりといった趣(おもむき)である。

 途中、トイレ休憩で羽生PAに立寄った際に買った、ファミマのおとなのおやつ旨塩揚げ餅と無印良品のキャラメルポップコーンでお腹が膨れる頃、まずは最初の観光地、那須烏山市の「どうくつ酒蔵」に到着。
 駐車場で観光バスを降り、セミしぐれのふる山沿いの道を歩くこと数分、洞窟の入り口が現れる。丸太を組んだ扉は、サンダーバードチックというかキングコングの故郷スカル島チックである。
 中に入ると、いきなりひんやりとした空気に包まれた。そして、ほのかな明かりに照らされて目の前を真っ直ぐな洞窟が伸びている。
 ここは太平洋戦争末期、戦車部品製造のためにつくられた地下工場跡とのこと。
 大きなコウモリたちが先導を務めるように闇の中を舞い飛ぶ。酒蔵の案内の方の話によると、縦に100メートルの坑道が3本走り、それを横60メートルの坑道5本が格子状に結んでいるのだという。学徒動員の男女学生がツルハシやノミを使って1年半がかりで掘った労作である。
 洞窟内の温度は年間を通じ平均10度。清酒の熟成には最適とのことで、いまは酒蔵として使用されている。1本100万エンほどの古酒も眠っているそうだ。このほか、長期熟成酒のオーナーズボトルの制度もあるとか。

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