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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第189回 名台詞の研究(2)

挿絵

 1954年(昭和29)は、日本映画の当たり年だ。同年のキネマ旬報ベストテンで、黒澤明『七人の侍』は3位に甘んじている。上位を占めたのはともに木下惠介監督の作品だ。2位は『女の園』そして1位に選出されたのは『二十四の瞳』である。
 壺井栄の国民文学とでもいうべき原作を映画化したこの『二十四の瞳』は、小豆島を舞台に女子先生(おなごせんせい)と12人の生徒たちとの20年にわたる交流が描かれる。
 国内のみならず世界的にも傑作の呼び声が高い『七人の侍』を抑えての1位獲得というからには、『二十四の瞳』は、それほどに大向こう受けする力を備えた作品なのだろうと思った。
 僕が少年時代、毎年のように正月にテレビ放映され、そのたびに観ていた母が感涙にむせぶ姿を記憶している。当時の母の年齢を追い越した僕は、なんとなくこの映画が観たくなった。

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