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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第180回『北の町に桜を訪ねて(前編)北上〜十和田湖』

挿絵

 今年の東京は桜が早かった。しかし、東北の桜の見ごろはゴールデンウイークからである。
 秋田・青森・岩手と、桜をめぐる3泊の旅に出た。

・1日目

 やまびこにも投入されるようになった東北新幹線の新型電車、E5系のゆったりとしたシートにもたれレッグレストの上で足を伸ばす。グランクラスとまではいかなかったがグリーン車で寛いでいた。
 引き出したテーブルには「東北まるごと弁当」という駅弁が載っていた。六角形の器の中央に宮城県産ひとめぼれのご飯、それを取り囲むマスには岩手県南三陸で水揚げされたサンマの竜田揚げ、秋田のいぶりがっこ、山形名物の芋煮、福島県は会津味噌の田楽、デザートに青森の焼リンゴ煮といった東北の味がそれぞれ盛り込まれている。
 駅弁に舌鼓を打ちながら窓外を眺めると、一ノ関の学校の校庭でソメイヨシノが葉桜になっているのが見えた。
 昨日、出発前の事前確認の電話で、桜は咲いてるところ、まだのところマチマチなのだと添乗員さんからは聞いていた。しかし実のところ、僕ら夫婦にとっては、桜は今回の旅の大きな目的ではなかった。僕も妻も仕事を持っていて、まとまった旅行に出かけるとなると日程が限られる。自由業である僕よりも、料理学校で教えている妻のほうにむしろ限定があって、それでちょうどよいのがこの東北の桜をめぐるツアーとなったわけだ。
 行ける旅行を探していたら桜に当たったというワケである。

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