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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第156回 ふたつの湾をめぐる旅(前編)熊川宿〜小浜

挿絵  福井県の小浜湾、京都府の宮津湾、日本海のふたつの湾近くに宿泊し、周辺を観光する旅に出た。
 日本三景のひとつ天橋立といった鉄板コースはもちろん、まだ観光ルート化していない場所にも足を運んだので、今後のお出かけの参考にしていただければとも思う。

・1日め
 東海道新幹線の岐阜羽島は、地元出身の政治家、大野伴睦(おおの・ばんぼく)の“圧力”によりルート変更された政治駅であるとも、“尽力”によって新幹線路線を迂回させることのないこの地に設置できたともいわれているようである。駅前には、その政治家が、隣に立つ夫人になにかを指し示してみせる巨大な(ほんとうに巨大な)銅像がある。

 駅前広場から観光バスに乗り込むと、車内で〈湖北のおはなし〉という駅弁を広げた。唐草模様の風呂敷ふう包み紙を開くと、こんどは弁当の箱が巻き簾でパッケージされているのが現れて旅心をそそる。
 こんにゃくや小芋の煮物、ネギと油揚げのぬたなどがメインの粒コショウのきいた鴨肉を取り囲んだ素朴な駅弁だ。こわ飯は季節によって内容が変わるそうだが、この時季は香り付けに塩漬けした桜葉が敷かれた山菜おこわだった。
 おこわの端のサイコロのなかには、口なおしの飴が入っている。

 観光バスは、いつの間にかこのお弁当の里である滋賀県を走っていた。車窓から眺める琵琶湖のはずれは、曇り空のせいか、もの寂しい風景がつづく。

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