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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第138回 三陸(前編) 仙台〜宮古

挿絵  2009年の9月の終わり、太宰治『津軽』の文庫本を旅の友に東北をまわった。
 ちょいテツ(ちょっと鉄道ファン)のウエノとしては、三陸鉄道北リアス線、JR五能線という、ふたつの海岸線を走るローカル列車に乗ることは、今回の旅のたのしみである。
 また、少年時代のオカルトブームのさなか、テレビのワイドショーや恐怖漫画でたびたび取り上げられ、畏怖の対象となっていた霊場、恐山を訪れることや、本州の北端、竜飛岬から北海道を望みたいというのも大いなる目的である。もちろん、行く先々で北の山海の美味や温泉を堪能することもできるであろう。
 それに、太宰治生誕100年のことし、まさに津軽平野に身を置き、30年ぶりに『津軽』を読み返せたなら、とも思ったしだいだ。
 それでは、三陸の旅におつきあいいただくとしよう。

・1日め
 東北新幹線やまびこは、お昼まえに仙台に着いた。
 杜の都はしばらく雨が降っていないようで、青葉通りのケヤキは、葉がくったりしている。街には早くも、マヒナスターズ、東京ロマンチカ、ロス・プリモス、ロス・インディオスという4大ムードコーラスの夢の競演という県民会館で開催されるクリスマスイベントの告知が出ている。
 ここからクルマで今夜の宿のある岩手県の三陸海岸に面した町、宮古(みやこ)を目指す。

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