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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第117回『西洋館のある風景』

挿絵  ウエノの洋館好きは、いったいいつからはじまったのだろう?
 たぶんアレかな。あのあたりがいちばん古い記憶ということになるのかな。
 僕は、東京・墨田区の工場街で生まれ育った。最寄り駅は京成線の荒川駅である。
 現在は八広(やひろ)駅と改名して、新駅舎で営業しているが、荒川駅のころは、荒川放水路の土手上に改札口があった。
 そうして、この駅舎に向かって右手側の土手上から見下ろしたところに、三角屋根の尖塔がある黒い外壁の建物があったのだ。ちょっと江戸川乱歩的世界をたたえた洋館である。まあ、洋館と言いきるには、和のテイストが多分に感じられる建物だったのだけれど。でも、そこがまた魅力だった。
 アパートか下宿屋とでもいった建物だったのだろうか? 周囲には、あまり見あたらない建築物である。
 「なんだろう? なんだろう?」と思っているうちに、しかし、いつの間にかなくなってしまった。
 そうして少年ウエノのなかには、なんともしれないモヤモヤが残った。
 この気持ちってなに?
 なくなった建物のことが気になるなんてヘンタイ?

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