
夜もふけた裏通りのことです
あれは22時頃でしたか、仕事ですっかり遅くなりまして、駅へと続く裏通りを歩いていたんです。その道はまーっすぐな道で、どんつきには巨大なビルが聳え立っています。
ビルの向こう側に行くには、脇を回り込んでも良いのですが、大概の人はビルの中を通り抜けて行きます。有難いことに1階だけは夜更けでも照明がついているんです。
ただ、喫茶店もとうに閉店時間で、明るいけれど人影はなく、この時間はいつもひっそりとしています。
その日も私は、灯りに集まる虫のように、そのビルに向かって、まーっすぐ、まーっすぐ歩いていました。
近づくにつれ、そこだけ明るいビル1階の自動ドアあたりに、小さな人影があることに気がつきました。
やがてその人影が中学生くらいの少女だとわかりました。
少女は、ひたすら反復横跳びをしていました。
この夜更けにたった一人、一心不乱の反復横跳び…
ぴょんぴょんとジャンプを繰り返す少女のシルエットに、なにかいいようもない恐怖をおぼえました。
私は催眠をかけられたように、その少女の方に吸い込まれて行きました。
(少女の方というか、まあそれがいつもの帰り道なのではありますが)
顔面をひきつらせつつ、ついに少女まで10mといったところで、車がやってきてました。
運転していた父親らしい男性が顔をだすと、少女をひろっていきました。
走り去る車を見送ったときの、なんともいえない安堵感。
勝手におののいた後の脱力感。
みなさまにもこんな経験、ないでしょうか。
