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挿絵
2009 上野亭店主口上 BACK NUMBER

>2009.12

挿絵

「サッポロポテト・バーべQあじ」ってありますよね。子どものころに発売されて、かれこれ30年以上食べてるお菓子なんですけど、あのスナックのかたちが、バーベキューの焼き網であることに最近になって(というかほんの半月まえ)にひょいと気がつきました。そうだったのか! って感じです。思わず、ぽんと手を打ちましたね。
あらら、みなさんは当然のごとくすでにご存知でしたか?
僕にしてみれば、‘09年も押し迫って、眼からウロコの大発見でしたよ。でも、ひとから聞いたんじゃなくて、自分自身で気がついたところに価値を感じますね。ほんと遅まきながらではあるんですが。
こんなことでも、なにやら来年に向けての活力になるような気がいたします。

>2009.11

挿絵

仕事で立川に行くためにJR中央線に乗りました。中央線なら、立川方面に向かって右側の車窓から見る風景が好きです。
高円寺を過ぎて阿佐ヶ谷あたりになると、高層の建物のすくないフラットな住宅地が広がります。そうした屋根屋根を眺めていると、なにか懐かしい気持ちがじんわりとわいてきます。秋深い晴れた日にはとくにです。
やがて西荻窪を過ぎ、吉祥寺に近づくと町の彼方にアントニン・レーモンドの手による東京女子大のチャペルの尖塔が姿を現します。中央線から眺める西郊のモダン都市は、どこまでも味わいがあるのです。

>2009.10

挿絵

この世に生を受けたからには、いちどは味わってみたいと思っていた松茸入りすき焼きをやりました。松茸は普通サイズの国産もの2本と、ちょいと小ぶりなアメリカ産4本。いずれも殺菌作用のあるサワラの葉が敷かれた箱のなかに横たわる姿は、傘が開いておらず、なかなかに麗しい。店頭で慎重に選んできた両者を食べくらべようというわけです。さらに、牛肉のほうはといいますと、鹿児島産の黒毛和牛。どうです、豪勢でしょ? 
しかしながら、松茸は例年どおり貯めていたスーパーのポイントをすべて放出して引き換えたものですし、黒毛和牛は、冷蔵庫を買った際にオマケにもらったギフトカタログからチョイスしたもの。それでも念願かなっての大御馳走でございます。
さて、松茸の味くらべですが、白っぽいアメリカ産にくらべ、大和魂を感じさせる色の濃い国産が繊維質の強さを感じさせる歯ざわりで勝っておりました。それでも、金額で倍以上ちがう両者(もちろん高いのは国産)、味と香りについてさほどかわらないような気がいたしました。こう書くと、「いや、そんなはずはないぞ」とのお叱りの声も聞こえてくるやもしれませんが。

そういえば去年のいまごろ、「つぎに松茸を食べるころには、誰が総理大臣になっていることやら?」なんて、冗談めかしてここで言いましたけど、現実はかようなことに――
まあ、当方はあいかわらず来年の松茸めざして、またせいぜいポイント集めにはげむことにいたします。
つぎに松茸を食べるころには……

>2009.09

挿絵

乗り物好きのウエノですが、飛行機に搭乗するというのは、また格別のわくわく感があるものです。
東京モノレールで羽田に向かう際、天空橋の地下駅を抜けて地上に出ると、建設中の国際線ターミナルの向こうに広々としたエアポートが現れます。そこに赤、青の垂直尾翼をきらめかせた巨大な旅客機たちの威容を確認すると、ふっと胸を高揚感がつらぬきます。
あと、なんといっても轟音とともに飛び立つ離陸時のあの瞬間ですね。あれは、声にこそ出しませんが毎回のように心のなかで叫んでいるなあ、「飛んだ!」と。
先日、仕事で出かけた帰路、真夏日の松山空港からのフライトでは、ANAのボーイング767-300の窓際席をキープし、美しい雲海を鑑賞することができました。機内サービスのしょっぱめのコンソメスープをすすりつつ眺めたそれは、氷山のように積乱雲が突き出した南極海のような風景でした。

>2009.08

挿絵

月に2回、西新宿の高層ビルにあるカルチャーセンターで創作文章教室を開講しています。
受講されているのは20代〜70代と幅広い年齢層の方々。書いているのは小説、エッセイ、自分史とさまざまです。書く目的も「自分発見」「作家デビューを目指して」「頭の体操」と、こちらもそれぞれ。
書いた原稿は作者ご自身に朗読していただきます。そうして、全員に感想を言ってもらいます。その際、なるべく批判的な言い方はよそうというルールでもって行っています。だからといって、互いにただ褒め合って喜んでいる場所ではありません。客観的、理性的な意見を交換し、作品と筆力に磨きをかけています。
こう見えて、プロ作家も輩出しているのですからたいした講座ですよ、ええ。
よろしければ、いちどのぞきにきてください。

■毎月第1・第3日曜日
11:30〜13:30に開講中(受講料/2,500円)
■お問い合わせ・お申し込み先
クラブツーリズム株式会社 旅の文化カレッジ事務局
〒160-8308
東京都新宿区西新宿6−3−1 新宿アイランドウイング4階
電話03−5321−7570
担当・櫻井(さくらい)
E-mail:tabikare@club-tourism.co.jp
URL http://www.club-t.com/event/college/index.htm

>2009.07

挿絵

四万六千日(しまんろくせんにち)お暑い盛りでございます。
毎年7月10日は、浅草寺の観音さまにお参りすると、4万6千日間参詣したのとおなじ功徳があるという縁日です。この前後、境内はホオズキ市でにぎわいます。
東京下町の生まれですので、幼いころからホオズキ市には親しんでおりました。それが学生時代、文学部の後輩の家が植木屋さんで、ホオズキ市に出店していて、仲間うちから何人かがアルバイトで参加しました。僕は大声で呼び込みをしたりするのが苦手で、露店の隅に置かれた樽に冷えているビールをご馳走になっただけでしたが。
この時期、まだ梅雨は明けておらず、あの晩も、電灯に照らされた珊瑚(さんご)色のホオズキの実が雨で濡れていたように記憶しています。

>2009.06

挿絵

西武池袋線の練馬高野台駅で池袋方面の電車を待っている時でした、ふと見やると留置線にこの駅始発の東京メトロ有楽町線乗り入れ新木場行きの10000系車両が身支度を整えて発車を待っている姿が眼に映りました。
カワイイと思いましたね。丸みを帯びた前面といい、そこから連想したのは、まさしく伊豆・三津(みと)シーパラダイスで見たイルカショーの出番を待つハナゴンドウの姿でした。ショーが終わったばかりだというのに、もう次の出番をステージ裏のプールで待っている、あのむじゃきな姿。あれはほんとにカワイかったなあ。

>2009.05

挿絵

先日、母校の大学の創立130年記念につくる冊子に載せるインタビューを受けました。記念冊子は今秋発行予定だそうですが、それに先行してインタビュー記事を週刊ダイヤモンド誌に掲載するそうです。
「卒業年は?」ときかれ、「留年しちゃったし、うろ覚えなんですよね」とこたえたり、「在学中のサークルの活動内容は?」との質問に、「お酒を飲むことです」と言って(ほんとのことなんですけど)、記者の方を手こずらせてしまいました。
でも最後の、「現役生たちへのアドバイスを」で話したのは率直な思いです。「できたら、自分の好きなことを仕事にしてもらいたいですね。おカネとか、地位とか、そんなものより、好きな仕事をしてほしいです。月曜日の朝、会社に行きたくないと思うようなことのない仕事についてほしい。大学の4年間で、そのほんとうに好きなものを見つけてほしいし、たとえそれを仕事にできなくても、どういうかたちにしろ一生かかわっていてほしいと思います」――いや、ほんとに。

>2009.04

挿絵

先月のことですが、商店街にあるなじみの小料理屋に顔を出すと、「生きたアンコウが入った」とのことで、刺身で食しました。この冬は茨城に仕事で出かけた際、大津港で揚がったアンコウ鍋(あちらで言うところの“どぶ汁”)を味わう幸福に浴しましたが、刺身はこれがはじめて。思ったより水っぽくなくて、じんわりと味わいがありました。こんな時、お酒はもちろんですが、カウンターの向こうの板さんに、僕は、「ご飯を1膳ちょうだい」と頼みます。

「生のマグロのいいのがありますよ」なんて時もそう。ナカオチ、カマの大トロをご飯とともに口に運びます。お刺身って、ご飯がちょっとあるとおいしさが増しますよね。ご飯といっしょに出た、ぬかと塩だけで漬けた練馬大根の漬物がうまくて、もう1膳なんてこともありますけど。

>2009.03

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外で一杯やろうと思ったら蕎麦屋か鮨屋といったあたりがまず頭に浮かびます。それと焼き鳥屋。近ごろは町のあちこちに小さくていい焼き鳥のお店を見つけます。あ、赤提灯じゃありませんよ。お洒落な内装でジャズが低く流れているような。もちろん、味のほうもレベルが高いのです。こうしたお店ではおまかせのコースで食べるのがいいですね。笹身のワサビ焼きあたりからはじまって、レバー、砂肝、口直しにうずらの玉子の炙りか季節によってはギンナンなんかが入って、つくね、皮身、ねぎま、ぼんじり、手羽先と食べ進み、そぼろ丼と鶏スープで〆括ります。なんならそぼろ丼にスープをかけちゃってもいい。ああ、また焼き鳥屋のカウンターに座りたくなってきた。

>2009.02

挿絵

デパートの革小物の売り場で、小ぶりの筒型バッグを見つけました。なんだろう? と思って近づいてみると、これがワインを入れるものなんですね。値段は、と見たら2万8千エンの札がついています。
「こんなのに入れて持ち運ぶワインだと4〜5万もするものなんだろうね」と言ったら、「ケタがちがうんじゃない」と家人に一蹴されました。日ごろボックスワインを愛飲する身としては4〜5万するワインというのも思いきって口に出してみたのですが……。こうしたあたりに自分の小ささを痛く感じるしだいであります。

>2009.01

挿絵

小説の取材でフィリピンに出かけることになりました。出発当日、成田空港に勤める知人の女性に連絡したところ、要人用の通路を抜けてセキュリティーチェックを済ませることができました。職員同行でないと利用できないVIP専用通路で、これだと出国者の行列にならぶ必要もありません。ちょっとイイ気分でしたよ。もっとも飛行機は三等席なんですけどね。
なにはともあれ今年もよろしくお願いいたします。

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