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ぴー吉 上野 歩 / イ  第97回『ふれあい散歩』・・・P2

挿絵 なにかにつけて「うれし〜」というのが僕の口癖らしい。週末に自分で掃除したての一番風呂に浸かると、「ふー」という満足のため息とともに「うれし〜」の声が出る。干したての布団にくるまると、足をばたばたさせて「うれし〜」。朝、カーテンをあけて、晴れでも、雨でも、そこに空があるだけで「うれし〜」。なんでも「うれし〜」と感じること、それは僕の数少ない取り柄なのかもしれない。
 ある中小企業の部長さんと話していたときのことだ、「なんか最近、幸せ感じないんだよねぇ」と言うそのひとに、「仕事から帰って、湯上がりにビールを飲んだときなんか、幸せ感じませんか?」ときいてみた。すると、「感じないね。おれっちなんか、そんなのあたりまえだと思ってるもん」というこたえが返ってきた。「あたりまえなんて言わないで、幸せはどんなにちいさくても、むさぼるように味わわないと」
 おとなになると、毎日がハレの日ばかりとはいかないのが人生である。それでも、「うれし〜」と感じるちいさな出来事があれば、むしろそうしたことをどん欲に発見してゆくことで、日々の色合いはかわってゆくのではないだろうか。
(『ふれあい散歩』〜「あとがき」より)

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