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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第211回 日帰りバスツアー(17)〜旅の名残(なごり)編〜

挿絵  比べるのもなんだけれど、枝豆よりも空豆のほうが好きである。でも、枝豆よりも割高なのである。それでも好きなのである。
 今回の日帰りバスツアーは、空豆狩りで千葉は房総半島の館山へと向かう。参加した地元の観光会社のツアー名は『完熟ビワ狩り食べ放題』となっていて、広告でもこちらがメインの取り扱いなのだが、僕にしてみればなんといっても空豆なのである。
 そういう意味では、一緒に参加した妻は、ビワよりも落花生(らっかせい)のつかみ取りのほうが目的である。
 まあ、メインの目的は人それぞれとして、あれもこれもたくさん楽しみが混ぜ込まれているのが日帰りバスツアーのよさだ。
 そして、まず第一番目のオプションとなったのが、トイレ休憩で立ち寄った東京湾アクアラインの海ほたるパーキングエリアだった。  先ごろ刊行した書き下ろし小説『墨田区吾嬬町発(すみだくあずまちょうはつ)ブラックホール行き』の中でも、+18の女子主人公・ひかるが海ほたるに立ち寄る場面を書いた。ひかるの高校時代の同級生のカスミは、たこ焼きならぬあさり焼きを食べている。たこの代わりにあさりが入ったスナックである。
 そして僕がこの日、海ほたるPAで味わったオプションとは、美しい空だった。鮮やかな青の中に、5月中旬のこの時期、早くも真夏のような入道雲がもくもくと湧き立っていた。5月の清々(すがすが)しい空気の中で眺める、先取りの夏の風景である。

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